戸隠高原の森と植物
5月末に、少し遠出してハイキングに出かけてきた。場所は戸隠高原。ここは高原の南東に位置する第四紀火山の飯綱山と北西に位置する戸隠山の間に開けた海抜1200~1300mほどの平坦地で、地形的には2つの山の扇状地および火山である飯縄山からの岩屑なだれ堆積物によって構成されている。
硯石から見た北アルプス。 右側から白馬鑓ヶ岳、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳の眺望。残雪が多い。
小鳥ヶ池~鏡池間のカラマツ植林。この辺りは岩屑なだれの堆積物に被われ、なだらかな起伏のある地形である。
小鳥ヶ池~鏡池間の森林。ミズナラとウラジロモミが多い。
マイズルソウ(キジカクシ科スズラン亜科)の白い花が咲いていた。左下はウラジロモミの実生。
ユキノシタ科のズダヤクシュも花盛りだった。ズダヤクシュは日本のブナ帯や亜高山帯では比較的、普通な植物だが、アジアには1種ズダヤクシュだけが日本からヒマラヤにかけて分布するだけである。北米に同属の4種があり、植物地理学的に興味深い植物である。近年の研究によればチャルメルソウ属に近縁であるという。
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花は小さいがよく見ると美しい。
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鏡池(人造湖)から見た戸隠連峰の険しい山容。山体は浸食に対して強い安山岩火砕岩類で構成され、氷食地形も確認されている。
鏡池から戸隠神社の奥社にかけての道は、緩傾斜の扇状地が広がり、滞水した場所も多く、ハンノキ林など湿生の植物群落がみられる、
ニリンソウ(キンポウゲ科)が花盛りだった。
ムラサキ科のタチカメバソウの花も満開であった。
花序は先端が丸く曲がり、ムラサキ科に多いサソリ形花序(巻散形花序)となる。
渓流沿いにはオクヤマガラシ(アブラナ科)も花を咲かせていた。丸みを帯びた小葉に分かれた葉が特徴的である。
クルマバツクバネソウ(シュロソウ科)の花。ツクバネソウの花に似ているが、子房が開花時から黒色であること、よく見ると4枚の披針形をした外花被片の間に、細長い線状の内花被片がある。
メギ科のルイヨウボタンの花。メギ科にはトガクシソウ属、ナンブソウ属、ルイヨウボタン属、サンカヨウ属など、少数種からなる遺存的な草本性の属が多く含まれる。トガクシソウ(日本固有属固有種)以外は、東アジアと北米の温帯に隔離分布を示す。ルイヨウボタン属も、アジアにルイヨウボタン1種が分布するほか、北米東部に2種がある。
ルイヨウボタンの花の拡大。花びらのように見えるのはがく片(内がく片)で、その内側にイチョウの葉のような形をした小さな花弁が6枚、着いている。花弁は蜜腺に変化している。開花後、雌しべは種子と分離、脱落してしまい、2個の球形の種子が裸出するという変わった性質がある。
戸隠神社奥社参道の随神門。300年あまり前の建立で、明治時代初期まで神仏習合の時代には、仁王門であった。
屋根の上には、オシダ?などのシダ植物やサワグルミ、イタヤカエデなどのカエデなど様々な植物が生育していて面白い。平成19年に屋根を葺き替えたようなので、15年間で成長した植物ということになる。空中湿度の高さが伺える。
奥社参道両側のスギ並木。400年ほど前に植えられたものと伝えられている。杉並木の周囲には、ウラジロモミやハルニレ、シナノキ、ミズナラ、ブナなどが混じる自然性の高い森林が51ha残され、長野県の天然記念物に指定されている。
近年、行われたスギの遺伝学的調査(木村ほか2013)によれば、戸隠神社のスギ集団は高い遺伝的な多様性を維持し、伏状更新によって再生したと考えられる個体や、挿し木苗由来と考えられる個体も見られた。自然再生と人為的植栽、および社叢として保護管理されてきた結果、スギの地域集団として遺伝的多様性が高く保たれており、遺伝資源としても重要であることがわかっている。
戸隠森林植物園内の森林。ハルニレやハンノキなどの森林が広がり、林床にはミズバショウが多い。
流路沿いにはリュウキンカ(キンポウゲ科)が多く咲いていた。
ヤマシャクヤク(ボタン科)の花。白い大型の花は野生の植物とは思えないほど華麗だ。
注染 てぬぐい 無常 壱百八大髑髏
ツゲ科のフッキソウの花。フッキソウ属も東アジアと北米に隔離分布する植物で、北米に1種、東アジアにフッキソウを含む2種がある。穂状花序の上部に多数の雄花を、下部に少数の雌花を着ける。写真に写っているのはほとんど雄花で、4本の太い雄しべの先に茶色のやくを着け、花粉を出しているのがわかる。花序の左奥に雌花の開いた柱頭がひとつだけ見えている。